パイプから水が出て雪を溶かしているあの装置、君の名は?

スタッフ日記

私は秋田市在住ですが「県南」と呼ばれる、内陸の積雪が多い地域に出かける機会がわりとあります。

 

すると、各家々の駐車場などにチョロチョロと水が流れるパイプがついているのをよく見かけます。

 

融雪装置だろうというのは想像に難くないのですが…秋田市周辺で全く見かけないのはなぜ?と疑問に思っていました。

 

水が流れた跡がサビみたいに赤茶色になるのがカッコ悪いから嫌なのかな?

 

道路の除雪の上手さに表れているように「積雪対策は家をつくる段階からガッツリやって当たり前」という県南地域の人々の意識の違い?

 

 

パイプから水が出て雪を溶かしているあの装置、君の名は?

 

調べてみるとこれは消雪パイプといって、新潟県長岡市が発祥の積雪対策なんだそう。

 

参考:新潟県長岡市の情報発信メディア『な!ナガオカ』

https://na-nagaoka.jp/archives/9368

 

実は私と同じように、この消雪パイプ設置地域の偏りが気になった人がいたようで、なんと研究論文まで存在しているんです!

 

参考:千葉晃『消雪パイプの地理的分布について― 最西端・最北端埋設県特定への試み―』

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajg/2024a/0/2024a_71/_pdf/-char/ja

 

水が流れた跡が赤茶色になる原因でもありますが、パイプに流しているのは水道水ではなく、一年を通して水温が10~15℃と安定している地下水。

 

だから消雪パイプを設置するには、まず地下水が十分に使える土地でなくてはいけません。

 

 

さらに、水を流しても凍らない気象条件が重要となります。

 

それで言うと、積雪が多く気温も低いものの、山に囲まれた内陸部の県南地域はこの条件を満たします。

 

一方で秋田市は気温が氷点下になることに加え、風力発電が盛んに行われるほど一年中風が強く、冬場に流した水は凍結してしまうため、設置に適しません。

 

 

消雪パイプが設置できない地域の融雪システムは?

 

ではこうした地域でも使える融雪装置いわゆる「ロードヒーティング」はどのようなものがあるのでしょうか。

 

 

ロードヒーティングの種類

温水・ボイラー式(灯油・ガス)

過熱した不凍液を路面下のパイプに巡らせる方式

融雪力◎、コスト△

・広範囲を除雪できる

・燃料費がそれなりにかかる

 

ヒートポンプ式(電気)

空気を圧縮することにより生まれる熱エネルギーで過熱した不凍液をロードヒーティング下のパイプに巡らせる方式

融雪力○、コスト○

・環境負荷が少ない

・かかるのは圧縮機を動かす電気代のみなので、ランニングコストが比較的安い

・ヒートポンプの寿命が短い

・不凍液の定期交換が必要

 

電熱線式(電気)

路面または路面下に埋め込んだ電熱線を加熱する方式

融雪力△、コスト△

・設置費用が安い

・耐用年数が長い

・ボイラー点検や不凍液交換などのメンテナンスが不要

・稼働開始からの立ち上がりが比較的早い

・使った分だけ電気代がかかるので、ランニングコストが高い

 

 

融雪装置の設置は専門家に相談を!

 

ロードヒーティング設置を検討される際は現地調査をしてもらい、どんなタイプがいいのか専門家とよく相談して決めるのが良さそうですね。

 

また、道路の除雪状況によっては敷地との間に段差ができて、車の出し入れなどが困難になる場合も考えられます。

 

いくら敷地内の除雪がいらなくなっても、道路との段差を削る作業に大きな労力がかかるようになってしまっては本末転倒。

 

お家の前の道路が冬場はどんな状態になるのかも想定しつつ、設置を検討する必要がありそうです。

 

 

雪国ならではの平屋を楽しむ

 


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